吉田茂の好物とは?美食家の首相が愛した3つの味
山田屋まんじゅう
吉田茂は総理大臣に就任する前、外交官として活躍しており、その際に各国の様々な料理を口にしています。
また晩年には住み込みのコックを雇い、自宅で料理をさせたそうです。
吉田が美食家であったことがうかがえますね。
しかしその反面、庶民的な食べ物を好む傾向もあったようです。
今回は、吉田がとくに愛した3つの好物をご紹介します。
真壁豆腐店の木綿豆腐
神奈川県・大磯にある「真壁豆腐店」は、吉田が生前ひいきにしていたお店のひとつです。
とくに木綿豆腐を好み、頻繁に買い求めていました。
こだわりの強かった吉田は、豆腐は真壁豆腐店のものが良いと決めていたようです。
他店の豆腐はほぼ受け付けず、真壁豆腐店が休業日で豆腐が手に入らないときには、わかりやすく機嫌が悪くなったといいます。
入手した豆腐は、湯豆腐にして食べるのが定番でした。
夏場でも湯豆腐をリクエストしていたらしいので、相当お気に入りの食べ方だったのでしょうね。
井上蒲鉾店の練り物
真壁豆腐店と同じく大磯に店舗を構える「井上蒲鉾(かまぼこ)店」も、吉田お気に入りのお店です。
ロールスロイスでお店まで乗りつけては、付き人に買い物を指示していたといいます。
井上蒲鉾店では、カマボコ・ハンペン・サツマアゲが販売されており、これら全てが吉田の好物でした。
なかでもハンペンを一番に好んでいて、よくお吸い物にして食べていたそうです。
大磯を訪れた知人らには「大磯土産は井上(蒲鉾店のもの)にしろ」と話しました。
堂々と人にお勧めできるくらい、井上蒲鉾店の品を美味に感じていたのですね。
吉田がひいきにしていたという評判も手伝って、井上蒲鉾店の製品は現在、大磯土産の定番になっています。
山田屋のまんじゅう
愛媛県・松山にある「山田屋」の山田屋まんじゅうも、吉田の好物でした。
もともと政界内でおいしいと評判になっていた品で、吉田も初めて口にしたときから虜になったようです。
政治家として活躍していた吉田の邸宅には、いつも多くの贈りものが届いており、山田屋まんじゅうも毎月贈られてきたといいます。
まんじゅうの送り主だった黒田節次郎という人の元には、吉田からお礼状が贈られました。
手紙には「毎度 御厚意ありがたく、おいしくいただきました」と記されており、簡潔に謝意が伝えられています。
また昭和42年に吉田が亡くなり国葬が開かれた際、霊前に供えられたのも山田屋まんじゅうでした。
吉田が山田屋まんじゅうを愛していた事実は、最後のお見送りで供えてあげようと思えるほど周囲の人々にも伝わっていたようです。
吉田茂の好物は、お豆腐に練り物、まんじゅうなど庶民的なものでした。
高級な食材や料理を好む美食家のイメージからすると意外ですね。
こうした一般市民に寄り添った一面こそ、吉田が国民から多くの支持を集めた理由なのかもしれません。